この発明、考案は複写機のプラテンカバー(原稿圧着板)のヒンジ(開閉装置)に関するものです。
大まかな動作の仕様は以下の通りです。

所定角度でのクリックストップ
所定角度以下の開角度では厚物原稿の圧着対応



所定角度でのクリックストップとは、【図1】の状態を維持することで、厚物原稿(ブック原稿とも呼ばれる)対応とは【図2】のような動作ができることをいいます。
ヒンジ仕様の説明

【図2】の動作をするためには、2箇所の軸が必要ですが、【図1】の自立の状態では一方の軸がロックされている必要があります。
つまり、冒頭の仕様を別の表現に置き換えると次のようになります。

自立位置では1軸回転でそれ以下の開角度では2軸が自由であること



ヒンジの主要部品 まず、このヒンジの主要部品を記しておきます。
【図3】に示される6つの部品が主要部品です。

自立に大きく関与する部品は、カム、ピン、アームです。

また1軸回転と2軸回転の切り替えに関与するのが、カム、フック、ブラケットです。



自立についての説明です。
【図4】は自立のときのヒンジの状態で、ここでは開角度60°を自立の角度に設定しています。
ヒンジが自立した状態 クリックストップの説明図
【図5】はカム周辺を拡大しています。
図に表していませんが、ばねの力によって、開角度60°を維持させる構造を示しています。

自立の保持力は、カムのサイズ、ばね荷重によって決定されます。



1軸回転と2軸回転の動作の切り替えについての説明です。 フックは【図6】の矢印方向(反時計方向)に回転する力を与えられ、フック内の小さなピンは常に
カムに摺動します。(【図7】)

フックのピンがブラケットをロックすると、1軸回転。ブラケットのロックを解除すると2軸回転と
なります。

以上を踏まえて、下のフラッシュムービーをご覧下さい。









1982年、社会人2年目を迎えようとしていたころの初のオリジナル設計です。
なんということもない機構ですが、今日の礎になっていることは確かです。
カムとフックの位置関係(1)
カムとフックの位置関係(2)