面一(つらいち)引戸装置のページでご紹介した駆動メカの様子をさらに詳しく説明します。

右のフラッシュムービーの動作を大別すると、引戸の回転移動とスライド移動です。
ごく微小な回転移動の後、スライド移動を行っています。

微小な角度を精度良く行うために、スライド機構を利用し、これを回転移動に変換しています。
つまり二つのスライド動作を交互に行っていることになります。

交互に動作させるための方法は、2つの動力源を用いこれを制御する方法と、1つの動力源で
2つの動作を間欠動作にする方法が考えられます。
いずれも一長一短があります。
2つの動力源の制御では、制御のタイミングを自由に設定できますが、電子制御特有のトラブルを心配しなければなりません。
間欠動作機構ではメカニズムが複雑になりがちで、一度決定したタイミングの変更は容易ではありませんが、そうしたトラブルが少なくなります。

ここで説明するのは。後者の間欠動作です。

いわゆる「からくりメカ」「からくり機構」などと呼ばれる機構設計の中には、間欠動作が頻繁に顔を出します。
30年ほど前のカメラやカセットテープレコーダーはその代表格です。概ねカム機構、ラッチ機構,、リンク機構といったものの組み合わせで出来ています。
日本カメラ博物館には、一眼レフカメラを部品レベルに分解して展示してありましたが、あの小さなボディに600を超える部品が詰まっています。

ここで説明するのは、そこまで精緻を極めたメカニズムではありませんが、そうしたものの要素部分であるカム機構を利用した間欠動作の事例です。



この駆動メカを大きく分けて3つの項目で説明します。

【1】動力の分割

まず、一つの動力源から、二つの間欠動作に分割する手段です。
画面内中央のボタンをクリックすると動画が始まります。
【2】微小な角度の回転

扉上部に配置されたピン(左下の画像の水色の矢印)を U字形の溝(右下の画像の水色の矢印)で動かして扉の微小な角度の回転を行っています。
尚、右下画像の赤色で囲まれた部品は前項の動画で示された間欠動作部品です。
この部品が左右に動くことによって、 U字形の部品が前後(画像では上下)に動きます。
上の画像では、それぞれのユニット毎にわけて写していますが、実際にはピンと U字溝が篏合するように組み合わさります。
下のフラッシュムービーで、その様子を説明しています。
尚、扉が搬送用ステイに支持される機構についてはこちらをご覧ください。
【3】扉のスライド移動

最後の項目は扉のスライド移動です。【1】項で説明した間欠動作部品のうち、左側の部品により扉がスライド移動します。
間欠動作部品から左側のローラユニットへ動力を伝達し、搬送用ステイと共にもう一方のローラユニットと扉を移動させます。