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2001年7月掲載


この解説では、CDマガジンで説明した「CDマガジン」を使用し、複数枚のディスクを自動的に交換しながらCDを演奏する「CDチェンジャーメカ」について説明します。
尚、この装置はいくつかの機構ユニットの集合体になっていますので、解説もいくつかに分割して説明します。

今回は、この装置の中で「CDマガジン」からディスクを取り出す機構の説明です。


【図1】は「CDチェンジャーメカ」に「CDマガジン」が装着された状態を描いたものです。
説明が煩雑にならないように、必要最小限の部品、形状で表示しています。
また、部品を係止する部品(例えばねじなど)もなるべく表示しないようにしています。


【図2】は「CDマガジン」ですが、この解説の中では、外観形状と、説明に必要な最小限の部品を透視したような表し方で描いています。
(「CDマガジン」の詳細はこちらをご覧下さい。)

「CDマガジン」の解説では説明しませんでしたが、底面には「CDチェンジャーメカ」に装着する際のガイド溝を設けてあります。
装着の際は、このガイド溝を下向きにして、ビデオカセットを挿入するような方法で装着します。


【図3】は、【図1】の中に出てくる、「ロアープレート」に取付られている、「マガジンイジェクトレバー」および「ストッパー」を説明するものです。

「マガジンイジェクトレバー」は、ばねによって常に反時計方向に回転しようとします。
「CDマガジン」はこの作用により、常に押し返されるように力を受けています。

「ストッパー」は「ロアープレート」の上面に突起部のみを突き出すような状態で取り付けられていて、「CDマガジン」が奥行き方向へ完全に装着されると、【図2】で記された部分に係合され、「CDマガジン」が固定されます。

「ストッパー」は矢印部分を下方(側面図では左方向)に押されると、「板ばね」の力に抗しながら回転し、「CDマガジン」の固定を解除します。
解除操作は、この後説明する、「トリガーユニットASSY」の役割の一つです。

ここまでは、「CDマガジン」の着脱に関する説明です。


本解説の本題である「トリガーユニット」の説明に移ります。
【図4】は「トリガーユニット」の図面です。


左下の図では、かなり煩雑なユニットのように見えますので、いくつかに分割した状態でこのユニットを記しています。

大きくとらえて3分割のユニットです。

「トリガーユニットベース」には「M4ビット」が埋め込まれています。

中央上部の図は「トリガーシャーシ」をベースとして、回転可能なレバーを取り付けるサブユニットを分解したものです。
このサブユニット内の「レバー(A)」および「レバー(B)」が、このユニットの主役です。

「レバー(A)」および「レバー(B)」は「トリガーシャーシ」に組みつけられた「ピン(B)」により、その位置を固定され、回転可能な状態を保っています。

また、「トリガーシャーシ」に組みつけられた「ピン(A)」は、「トリガーユニットベース」に形成された溝に係合し、このサブユニットの動作方向を限定しています。
また「プレート」はこのサブユニットの蓋の役割をもち、尚且つ、その円筒状の突起を「ガイド」の溝に係合させて、動作方向を限定しています。
従って、サブユニットはこの図の中において、上下(製品の設置状態では水平)にしか動作できず、また「テンションスプリング」により絶えず引っ張られています。

「トーションコイルスプリング」は、「レバー(A)」を時計方向に、「レバー(B)」を反時計方向に付勢させています。

「ガイド」は前述の通り、サブユニットの摺動する方向の案内役であり、サブユニットを保持する蓋でもあります。

これらの部品全てを表示したままでは、図面が煩雑になりますので、「トリガーユニットベース」、「レバー(A)」、「レバー(B)」の3つの部品のみを抜き出した図面で動作の説明をします。


【図5】は「レバー(A)」および「レバー(B)」が動作できる範囲の説明です。

「レバー(A)」および「レバー(B)」は【図5】のように、「トリガーユニットベース」に形成された溝によって動作範囲を制限されています。

このユニットに対し、外部から「レバー(C)」が「レバー(A)」を押しつけることによって、【図6】のような動作を行います。

最後の状態は、「レバー(C)」が通過した後、それぞれに働いているばねの作用によって「レバー(A)」および「レバー(B)」が初期位置に復帰したところです。

このユニットは「レバー(B)」を必要なタイミングで突出させ、ある一定量スライドさせるためのものです。
ある一定量とは、「CDマガジン」の「メカニカルレバー」をフルストローク移動させる量を指します。

また、「レバー(B)」はその役割を終えた後は、次の動作の準備をするために、初期位置に戻る(引っ込む)必要があります。
つまり、図に示した最後の状態で、1回の動作の終了となります。

では、この様子をアニメーションでご覧下さい。


この「CDチェンジャーメカ」は「CDマガジン」内の任意のスリットからディスクを引き出し、自動演奏することが目的です。
ここまでの説明では、ある特定のスリットからディスクを引き出すための構造を説明してきました。

例えば、今1段目のスリットにあったディスクの演奏が終わり、2段目のスリットのディスクを引き出す動作に移るものとします。
と、いうことは、現在「レバー(B)」は1段目のスリットの対応すべく高さに位置しています。
2段目のスリットの「メカニカルレバー」を操作するためには、「レバー(B)」も2段目の高さに移動しなければなりません。

その移動手段として、「スクリューASSY」と「M4ビット」が存在します。
【図8】はそれらを表すものです。

「スクリューASSY」と「M4ビット」はおねじとめねじです。
「スクリューASSY」は「軸受け」と「アッパープレート」により回転可能に係止されています。
「M4ビット」は「トリガーユニットベース」に固定されており、「トリガーユニットベース」は「シャーシ」に係合して、回転ができないようになっています。

したがって、おねじである「スクリューASSY」が回転すると、「トリガーユニットASSY」は上下動(図では左右に動きます)を行います。
「スクリューASSY」は、伝達手段としてベルトを用い、モータにより回転します。
「トリガーユニットベース」にはいくつかの角穴があいていて、フォトインタラプタがこの穴を検出して動作位置を制御します。


「トリガーユニットASSY」は、前述の上下動を利用して、「ストッパー」の解除動作も行っています。
【図9】では「トリガーユニットASSY」が下降して、「ストッパー」の解除を行う様子を表しています。


「CDチェンジャーメカ」内でのディスクの搬送の方法についてはCDチェンジャーメカ(2)以降で説明します。


<終わり>